冷徹御曹司かと思っていたら溺愛御曹司でした〜甘い束縛にとらわれて
「で、朝からなんなの?」
『砂羽、来週の土曜日、予定って空いてるか?』
「空いてますけど…お一人様にそんなこと聞くなんてケンカ売ってるよね、買うよ」
なにぶん、テンションが高いので冗談も本気度は高い。
『いや、遠慮しておく』
つまらない奴と、手に持ったままのりんごをまた、かじった。
『おい、電話中に何食べてるんだよ』
「りんご」
『そうじゃなくて…あー、もうそんなことどうでもいい。来週空いてるんだな』
「そう、言ってるじゃない」
『なら、砂羽…その日、僕の恋人になってくれ』
「…はい?なんて言ったの?」
ありえない頼みごとに耳を疑った。
『恋人役頼むよ』
「いやよ」
『即答するなよ』
「お兄ちゃんには、恋人いるでしょう」
嫉妬深い、アメリカ人の相手が。
『ジェシーとは別れたんだ。というか、別れたくない。だから、頼むよ。嫉妬させたいんだ』
女々しく泣き声でわめく兄に、耳からスマホを遠ざける。
「新しい男行きなさいよ。他の人に頼みなさいよ」
『ジェシーじゃなきゃ嫌だ。それに俺が女に触られるのダメなの知ってるだろう。砂羽は、血が繋がりがないとはいえ、ずっと妹だったし、性的な目で見てこないから大丈夫だし、兄を助けると思って協力してくれよ」