俺様同期の溺愛が誰にも止められない
「退院したら普通の生活に戻ってもいいんですよね？」
「うん、行動に制限はないから運転でも飛行機でもOkだよ。ただ、仕事は少し様子を見てからの方がいいんじゃないかな」
「えー、その必要がありますか？」
「まぁこれも一応労災だからね。用心に越した事はないだろう」

仕事に戻りたい素晴ともう少し経過観察をした方が良いだろうと言う主治医との会話を、私は不思議な気分で聞いていた。
だってこの会話、数日前に私が素晴とした気がする。
もちろんその時は、素晴の方が止める側だったけれど。

「どっかで聞いたような話だね」
私と同じことを思ったらしい高杉先生が、言いながら笑っている。

そう言えば、今回の素晴のケガで驚いたことがもう一つある。
それは、素晴と高杉先生が親戚だったこと。
素晴のお姉さんの旦那さんが高杉先生だそうで、簡単に言えば義兄弟。
それならそうと事前に教えてくれればいいのにと思うけれど、実家のことをあまり話したくない様子の素晴には言いたくないことだったのかもしれない。
私もあえてその話には触れないことにした。
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