更生係の憂鬱生活 【番外編】
出会った頃の京平は、僕とは真逆の反抗的でだらしのない不良だと言われていた。
まぁ、その評価は今もあまり変わっていないみたいだけどね。
しかし、偶然出会って吹っ掛けられた京平の一言で、僕のタガが綺麗さっぱりと外れたのだ。
真面目に見えた黒髪に反して、目立つように耳にあけられた複数のピアス。
更に、シャツのボタンが指定外まで外されていて、ズボンは腰で履いているような格好。
人気のない裏庭で、校則破りをあまりに堂々としている彼と遭遇し、思わず視線を奪われ、
目が合ったのが最初の交わりだった。
僕は基本的に他人に興味がないし、非常識な他人に常識を説きたくなるような真面目でもない。
だから、ありとあらゆるルールを無視する京平に対して嫌悪感は特になかった。
ただ、僕とは違い、自らの欲求に忠実に生きる彼が酷く別次元の存在に見えて、気になったのだ。
目が合って数秒後、その場には僕と京平の2人しかいなかったからか京平は面白おかしく僕に話しかけてきた。
無視しても良かったけど、気まぐれで立ち止まった。
人との不必要な関わりをしない僕は自分からは喋らなかったし、京平の質問に淡々と返すだけだったけど。
そんな中、僕の境遇について聞かれた際に、事実のみを答えたら、京平はふーんと鼻を鳴らした。
ー「へー、他人に敷かれたレールに乗る人生とかクソ詰まんないと思うけど。
清はそう思わないの?」