カエル化姫は愛されたい、偽俺様王子は愛したい~推し活女子と天然一途男子は最強夫婦~

保護猫の不安

 大学に行き、事務局に日埜静馬の学部を問い合わせてみても、外部の人には個人情報を明かせないといって、断られてしまう。
 困っていたところに、証明書をもらいに来たという彰文と鉢合わせした。

「あ、カエル化……」
 と言う特殊な呼び名で呼ばれて、声の方を見てみれば彰文がいたのだ。

「今日も約束してんの?瑠璃也呼ぶ?」
 と言われて、思わず首をブンブンと振ってしまう。

「瑠璃也とは別件で用があって」
「へー別件?瑠璃也は知ってる?」
「知らないし、今のところ言えない」

 すると彰文は明らかに面白がっている顔で、
「喧嘩中とか?それともこっそり推し活?」
 と探りを入れてくるので、困り果ててしまう。
 言い方を間違ったな、と思った。それに、推し活のことを知っているなんて、瑠璃也はどこまで彰文に話しているんだろう?

「喧嘩はしてないよ。寧ろ付き合う前の方が、喧嘩してたかも」
「じゃあ浮気だ」
「違うよ」
「瑠璃也の奴、あれでいて一世一代の初恋らしいから、あんま泣かせないでやってねー」

「え、初恋?あの出で立ちで、さすがにそれは、嘘だよね?」
「そう思うよなぁー。けど、瑠璃也って中身割とサイコだし、変だから、ピッタリな子がいないんだろうな。その点水樹さんはピッタリ。カエル化姫だし、距離感バカなところとか。見た目と中身がミスマッチな感じとか」

 随分とひどい物言いだと思うけれど、かなり当たっているのがまた、辛い。
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