カエル化姫は愛されたい、偽俺様王子は愛したい~推し活女子と天然一途男子は最強夫婦~

遺伝子炸裂

 瑠璃也のおじいさんのパーティは、レクリエーションのようなもので、親族を中心に遊びを楽しもうという趣旨のようだ。
 ホテルの広間を使い、食事は勿論、脱出ゲームがあったり、新製品の試用や試食スペースがあったりする。親族の会社の製品やそれぞれの事業の体験スペースがあるのが慣例なんだ、と瑠璃也は言う。

 親族や知り合いから声をかけられて答える瑠璃也は、演技をしていない普段の瑠璃也だ。フランクな印象でリラックスして見える。にもかかわらず、なぜか瑠璃也は、このパーティは気が重いというのだった。理由は分からず私はただ、隣にいて瑠璃也に紹介されれば、相手に挨拶をする。

 ビュッフェの料理を取っていたら、男性に声をかけられた。
「瑠璃也の連れのおねーさん」
 と呼ばれて、私が戸惑っているわずかな間に、瑠璃也がそばに戻って来る。

「久しぶり」
 と男性と私の間に入ってきた。
「瑠璃也が女の子連れてくるなんて初めてじゃん。てっきり、女の子は好きじゃないのかと思ってたなぁ」
「いや、連れてくるかどうかと、女の子が好きかどうかは別だから」

「彼女?」
 と探るように言われて、
「そう」
 瑠璃也はややぶっきらぼうに言う。

「かなりヒットだわ。しかも、イイ具合にエッチな感じで」
 と言い、身体のラインを明らかに見られているのが分かる。
 来る前にフィット感の強いスリットありのニットのワンピースと、シフォンワンピース、シアー素材のレースドレスで迷って、瑠璃也に聞いたら、
「絶対シフォンワンピース。フィット感は少なめで、露出も少なめで」
 と言われた。

 その意味がなんとなく分かり、やや気まずい感じになる。
「セクハラで訴えるからな」
 と瑠璃也は言うけれど、男性は物ともせずに、
「瑠璃也って淡泊っぽいけど、大丈夫?満足できる?」
 となおも声をかけてくるのだった。

 その後も、グイグイと灰汁の強めなコミュニケーションを取って来る男性陣がぞろぞろと現れる。
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