カエル化姫は愛されたい、偽俺様王子は愛したい~推し活女子と天然一途男子は最強夫婦~
 白那がメンヘラモードになるときや冷戦状態になるとき、俺は事業モードになる。白那の感情一つで、状況がガラッと変わることを思うと、複数の手を打っておきたいと思うのだ。

 白那との関係が恋人や婚約者じゃなくなったとしても、朱那さんにお願いされた役割は果たそうと思っている。

 俺は部屋にいた白那をリビングに呼び出し、事業の提案をしてみることにした。朱那さんから、サロンのことを頼まれていたんだ、と話しはじめると、白那は目を丸くする。

「いつの間に?瑠璃也、ママとそんなに会ったことないよね?」
 と素直な感想をくれた。

 そこから先の説明をするのは、少しだけ迷ったけれど、事前に病気のことを聞き、朱那さんから白那のことを頼まれていた経緯を伝える。

 もっと早く伝えてくれればいいのに、と言って嫌われる可能性も頭をかすめた。でも、もしこの先白那といられるなら、どっちみち話さなければいけないことだ。

 意を決して話したら、白那は頷いて、
「ありがとう、瑠璃也」と言う。
「今まで黙っていてごめん」

「きっと、ママが口止めしたんだね。でも、それは正解。きっと早めに聞いてたら、私暴走したと思うから」
「朱那さんが俺にもサロンの引き継ぎをしたのは、嫌じゃない?」
「そこはほら、私はメンタルの波が激しめだから。瑠璃也の方が信用できたのかも」
 と白那は笑って、肩をすくめてみせる。

「瑠璃也は、私のこと思って話さないでいてくれたんでしょ。ここに連れて来てくれたのも、私が暴走しないように、護ってくれるためだし。瑠璃也はいつも優しさで動いてくれていたんだね。ありがとう」

 好意的な白那の反応には正直拍子抜けしてしまったけれど、話しても嫌われないことには安心した。
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