カエル化姫は愛されたい、偽俺様王子は愛したい~推し活女子と天然一途男子は最強夫婦~

手紙の効果

 公園に移動して、日陰のあるベンチに横並びに座る。
 白那が表情を変えながら朱那さんの手紙を読んでいるのを見守りつつ、待っていた。

 朱那さんが白那の誕生日に届くように手紙を出したのだろうか?
 たしかに、郵便物の到着日時を指定できるサービスもあるようだけれど、誰かが朱那さんに頼まれて手紙を投函した可能性もある。

 消印に刻まれていた郵便局は、見慣れない土地の名前だった。

 読み終わった白那はなぜか俺の顔をじっと見てくる。

 そして見つめて来てから、初めて会ったときのように、顔に手を当ててくるのだ。
「白那?」
「私のも、遺伝子レベルだったみたい」
 遺伝子レベルとは一体?と思っていたら、白那が顔のパーツを丹念に触って来る。正直、戸惑うのは否めない。

「触りすぎだよ」
 思わず口にしたら、ゴメンと言って触れていた手を離した。でも、視線はそのままこちらに向いたまま、

「私の全部あげるから、瑠璃也の全部くれる?」
 と言うのだ。
 どこかで聞いたような言葉を白那が口にしたので驚いた。前に俺が感覚的に口走った言葉だと思う。
 深く考えていたわけじゃないけれど、どうにかして距離をつめようとしたときに、口にしていたようだった。
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