しきたり婚!~初めてを捧げて身を引くはずが、腹黒紳士な御曹司の溺愛計画に気づけば堕ちていたようです~
「衣都先生、お疲れ様。素晴らしい演奏だったわ」
「ありがとうございます」
ステージ脇に戻ると和歌子に褒められ、衣都はほっと胸を撫で下ろした。どうやら期待に応えることができたみたいだ。
緊張のオープニングアクトが終わり、発表会はここからが本番だ。
未就園児クラスの音楽劇、小学生クラスの演奏、大人達の演奏とプログラムは次々と進む。
衣都はプログラムが終わるその都度大きな拍手を送り、叱咤激励で生徒たちをステージに送り出していった。
そうして送り出した生徒の中には、慣れ親しんだレッスン室とは違う雰囲気に呑まれ、実力を発揮できない子もいた。
「よく頑張りました」
衣都はかつて自分の母がしてくれたように、頑張った生徒をうんと褒めてやった。
発表会は大勢の人の想いをステージに残し、無事に幕を下ろした。