双子アイドルは俺様暴走族!
ゆっくり丁寧な口調にあたしの気持ちは次第に落ち着きを取り戻す。
そうだった……。
今日学校へ行ってみたら机がなくなっていて、それからそれから……。

思い出して鼻から大きくため息をはき出す。
紳士はあたしの記憶が戻ったことを確認してから手を離した。
「では、参りますよ」
はいはい。

こうなったらもうやけくそだ。
教室には机がないし、転校するという事になってしまっている。
なるようになるしかないじゃないか!

やけくそ気分で車を下りて、秋原高校の校門をくぐる。
そして……。
その大きな建物を見上げ、あたしは絶句した。

なにこれ、学校?
お屋敷?
それともお城?
中世ヨーロッパのようなレトロな雰囲気のある大きな建物。

建物正面の中央には大きな時計。
入り口はアーチ型になっていて、とても普通の学校とは思えない。
「えっと……学校?」

あたしはその建物を指差して、ようやくそう言った。
「さようでございます」

ペコリと頭をさげてそう答える紳士。
はぁ……。
さようか……。
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