双子アイドルは俺様暴走族!
「やぁ、よろしく」
「よろしく、カヤちゃん」
右から晴が、左から圭が手を差し出す。

あたしはその両方の手をシッシッと邪魔扱いしてどかし、ドカッと自分の席に腰を下ろした。
「どうしたのカヤちゃん、なんか怒ってる?」
圭が目をパチクリさせてそう聞いてくる。
「違うだろ圭。カヤは今生理なんだきっと」

シレッとぬかす晴。
「誰が生理よ! いきなり学校を転校させられたんだから怒っているに決まっているでしょ!?」
カチンときたあたしは思わず大きな声で【ツインズ】を怒鳴り散らした。

一瞬、シンッと教室中が静まり返る。
そして、女の子たちの鋭い視線が突き刺さっていることにあたしは気がついた。

な、なによ……。
あたしは被害者なのに。
あたしはこんなこと望んでいないのに……。

なのに周囲からは「贅沢者」だの「ブスのくせに」だのと、わかりやすい罵倒が飛んでくる。
「教室では極力大人しくしてな」
晴が口元に笑みを含ませ、そう言った。

あたしは悔しくて、でも晴の言う事はごもっともなので、ギリギリと奥歯を噛みしめた。
くっそぉぉぉ!!
こんな学校なんて、こんな性悪双子の付き人なんて、すぐにでもやめてやる!!
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