アリス人形
「さ、このチェアに座って。」

「おい、俺の問いに答えろよ!」

「え、えっと…。」

帽子屋を無視し、三日月ウサギは戸惑う亜里珠を丁寧にエスコートした。

「帽子屋。」

椅子に亜里珠を座らせた三日月ウサギは、帽子屋に笑顔を向けた。

「じゃあ、ユーは何故“あの子”を“アリス”と呼んだ?」

まさかの問い返しに怒りを覚えつつも、帽子屋は答えた。

「それは、顔よりもさきに服が見えたから。」

「へぇ?でも“君の愛しいアリス”のファッションはブルーだったはずだよ?」

「…!んなもん、覚えて、ねぇ…ょ。」

帽子屋は三日月ウサギから逃げるように視線を反らした。

「つまり、ユーは本能でアリスをアリスだと知ったんだ。違うかい?帽子屋2代目さん。」

「……やっぱり、死んじまったのか?あいつ。」

「…イエス。」
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