アリス人形
「わっ!?馬鹿!!こいつは――」

それに慌てた帽子屋は三日月ウサギの前に立ちはだかり、

「フレンドだよ!アリス!!」

三日月ウサギはティーポットを抱きしめ、叫んだ。

「…え?」

だが、遅かった。皿は亜里珠の手からはなれていた。

「よっ…と。」

まあ、帽子屋が見事にそれをキャッチしたのだが。

「ふれ、んど?」

力が抜けた亜里珠はヘナッと椅子に座り込んだ。

「あわてんぼう…だね、ア、リス……眠。」

ティーポットから可愛らしい声が聞こえ、亜里珠は罪悪感でいっぱいになった。

「ゔ…ごめん、なさい。」

「いいよ…アリス…本当は……ゃ…さし…ぃ……Zzz…。」

すると、三日月ウサギがくすっと笑い、帽子屋の頭を撫でながら口を開いた。

「皿、ナイスキャッチ。…アリス、すっかり忘れてたけど、このプリティーマウスは眠りネズミ。」

「ょろ…ぴくー…。」

ティーポットから、ぽとっと、降り立った眠りネズミは右手を上げ、すぐに力なく動かなくなってしまった。
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