君は運命の人〜キスから始まったあの日の夜〜
帰国日だった前日、日本に残っていた秘書から、彼女の母親が入院していることを聞かされた。それもあまり体調がすぐれないという。すぐに仕事を終わらせ、一日早く帰国し、その足で病院に向かった。
そして、再び彼女と会うこととなった。彼女はあの時、同様、俺をただの会社の上司としか認識していなかったが、病気の母親を思うその姿に、俺は胸を痛めた。どうにかしてあげたい。そうして思いついたのが__結婚だった。

隣で眠る彼女の頬にそっと触れる。「んー」っと声を漏らす彼女は幸せそうに微笑んでいた。
「……」
彼女は俺の全てだ。俺を絶望の淵から救い、愛をくれた。今度は俺が彼女を救う番だ。
その穏やかな寝顔の横、俺は呟いた。
「必ず、君を守ってみせるから……」
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