君は運命の人〜キスから始まったあの日の夜〜

一生離さない

迎えたパーティー当日。会場内の船には、煌びやかな装いをした大勢の人達で賑わっていた。豪華な食事に、シャンパンタワー。天井を見上げれば、シャンデリア。まるでセレブ達のパーティーのようだ。
さすが、宝月財閥。パーティーのスケールが違いすぎる。
あたりを見渡せば、会場の至る所にはビジネス誌などで大きく取り上げられているような経営者たちがごろごろといるし、遠くからでも目を引くような美人がいるなと思えば、テレビでよく見る女優だったり、ここが現実世界かどうか分からなくなる。
……私、場違いじゃないかな。
ガラス窓に映った私は、自分の目にはいつもよりかは綺麗に見えるが、女優の隣に立ってしまえば、当たり前に霞む。
仕事帰り、葉月ちゃんと探して見つけた、黒い膝上のタイトドレス。シンプルながらも、洗礼された美しさと上品さを兼ね備えているこのドレスに、一目惚れしてしまった。髪型は、事前に予約していた美容院でセットしてもらった。どんなのが似合うか分からなかったから、お任せでとお願いしたら、ロールアップにしてくれた。
普段、首元なんて出すことがないから、スウスウして変な感じがするな。
そんなことを思っていると、正面からシャンパングラスを両手に持った、葉月ちゃんがやって来た。
「わあ……先輩、やっぱりそれにして正解でしたよ。素敵です!」
目を見開いて、まじまじと私を見る葉月ちゃん。
「ありがとう。葉月ちゃんこそ素敵」
葉月ちゃんは、ふんわりとした薄い桃色のドレスを着ている。
「ふふっ、ありがとうございます。今日はとことん楽しみましょうね!」
隼人の大切な日。私がウジウジしても仕方がない!
葉月ちゃんからグラスを受け取ると、カッチンとグラスを合わせ、私達は、ささやかながら乾杯をした。
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