語彙力ゼロなアドレナリン女子は、ダウナーなイケボ男子をおとしたい

オキシトシンドバドバ

 自分で脱ぐと言ったら、楽しみを取るなよ、と言われて、手際よく脱がされる。

 上半身が裸になったところで、「腹筋見て」と自慢したら、「いや、そこじゃねぇ」と別の場所を触られた。

 翡翠に触れられる部分は、まるで何かの魔法がかかったみたいに熱くなる。そして甘く痺れるのだ。甘い声が出て、驚いて翡翠を見上げてしまう。

「イイんだ?」
 と甘い低音で囁かれるたびに、お腹の奥がうずく。

「ホントに、初めて?」
 と聞かれて、出来なかったことはある、と言ったら、翡翠はムッとした顔をする。
「誰にもやらない」
 と低く甘い声を響かせながら、私の中を解きほぐしていく。

 両太腿の間に入り込んだ手があまりにソツのない動きをするので、
「付き合ったことないんじゃ、ないの」
 と言えば、「昔から器用だから」で片づけられてしまう。

 それは答えになってない、と言う余裕はない。年上としてリードしようと思っていた私は、ショックを受けていた。
「ショック、私が犯そうかと思ったのに」

「バカ。お前ってホント、言葉のチョイス、バカじゃん?」
 翡翠は笑って、ちゃんと気持ちがいいようにやってやる、と言うのだ。

 言葉にたがわず、優しい動きをする翡翠の手によって、どこまでも蕩かされていく。
 アドレナリンがドバドバではないけれど、オキシトシンはドバドバかもしれないな、と思う。私がすっかり熱に浮かされているうちに、翡翠の瞳にも熱が宿って来たのが分かった。
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