シテくれないわたしの彼氏~モンスターバトル~
「あの、図書館連れて行ってくれませんか?」
 立ち去られたら、もう二度と会えない気がした。

「今?」
「今じゃなくて、今度」
「○○大学だけど、場所分からない?」

「調べればわかりますけど、一緒に行ってくれませんか?」
「それは、こっちからするとメリットが少ない気もする。君のご両親や教師に疑われたらどう証明すればいい?」
「え?手は出さないので安心してください」

「そういう発想はなかったな」
 と本当に驚いたといった顔でこちらを見る。感心されても困ると思った。
「家庭教師ってことにしましょう。お金が発生していることにすれば、説明できます」
「いや、ご両親は雇ってないから、明らかだよね」

「学びがあれば、どんなものもウェルカムなのが、うちの親です」
「何もないことを説明するのは難しいから、未成年には関わりたくないな。未成年の気まぐれで犯罪者に仕立て上げられたら最悪だ。接点もないしね」

 ここまで警戒されるのは初めてだったので、かえって面白く感じた。
 だからだと思う。
 私はいつもならしないレベルで、深追いをしてしまう。

「じゃあ教えてくれればいいじゃないですか。何か、勉強。そうすれば接点がある」
「なんのために?」
「私のために」

 男性は小さくため息をついた。結局男性は「いいよ」と言う。
「ただ、今日はこれ以上話しかけるのはやめて欲しい」と言われた。
 周囲の目を気にしているようだ。
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