シテくれないわたしの彼氏~モンスターバトル~
 彼の理屈も考えも全く分からない。すべてがとても遠回りのような気がしてしまう。

「経験ってどこまで?」
「村瀬さんにとって初めての経験なら、どこまでも」
「なんで、それを岸井さんとは出来ないの?私の初めては、一回だけなのに」

「初めてが大事?」
 私は頷いた。

「村瀬さんのことが好きな人と、今連絡を取って。そしたら、考えるよ」
 私は若槻のメッセージを開く。今度またデートしてくださいと言ってきていた。私は彼にメッセージ内容を見せる。

「この人は村瀬さんのこと好きだね。きっかけさえあれば、あっさりと」
「経験したかどうかは、どうやって証明するの?」

「自己報告でいいよ。相手に確認するから」
「嘘、そこまでするの?」

「そうじゃなければ、本当かどうか分からないから。本当ならメディアに保存して提出してほしいところだけど、相手がある問題だし、色々と問題があるから」
 私は絶句した。

 ただ付き合いたいだけ、ただ目の前の人ともっと深い関係になりたいだけ。
 それなのに、どうして壮大な周り道をしなければいけないんだろう?
< 42 / 57 >

この作品をシェア

pagetop