魔力なし悪役令嬢の"婚約破棄"後は、楽しい魔法と美味しいご飯があふれている。

7

 お昼のピークがすみ時刻は午後三時、ガリタ食堂は閉店した。片付け前に大将さんとニックは椅子で休み、女将さんは今日の売り上げの計算をしていた。

 しばらくして、売上帳をパタンと閉じた女将さんは。

「ごくろうさま。なんと、今日は生姜焼きに続く売上がでたよ」
「まじか、すごいな。親父、お袋、ルーチェ、今日もお疲れさん」

「お疲れさま。お母さん、腰が痛いから湿布を貼ってくれ」

「はいはい、お父さん、いま貼りますね」

 大将さんが厨房から出てきて椅子に寝転がり、女将さんが湿布を張っている。お二人はいつも仲がいい。私もいつか結婚できたら大将さんと女将さんのような、夫婦になりたいと思っている。

「お疲れ様です、お茶がはいりました。大将さん、女将さん、ニックさん休んでください」

「ありがとう、ルーチェちゃん」
「ありがとうよ」
「サンキュ」

 みんなにお茶をいれて私も座る。今日もよく働いたから足がパンパン。女将さんと今朝むいたジャガイモは大将さんとニックの手により、コロッケと、ポテトサラダの料理にかわり全て完売した。

「はい、湿布終わったよ。でもさ、ルーチェちゃんが教えてくれたコロッケは凄い人気だね」
  
 働きはじめて一ヶ月。コンロを借りて夕飯の料理していた。そのとき、作っていたのはチャーハンだった。

『「その料理を食べてみたいね」』  

 と言われて、食べてもらったのが始まり。
 
 女将さんに「今日はなにを作るんだい?」と聞かれて、コロッケ、生姜焼き、唐揚げ、トンカツ、オムライス、ハンバーグなど、前世でよく作っていた家庭料理を披露した。

『「ルーチェちゃんの作る料理は、どれも美味しいね」』

 大将さんとニックにも作り、二人が気に入った料理が店に並ぶようになった。



 みんなが明日の定食を決めている間に、私は厨房をかりて、天日干ししていたジャガイモの皮を揚げさせてもらうことにした。

「コンロ借ります。ジャガイモの皮、女将さんの分も揚げちゃいますね」

「ありがとう、ルーチェちゃん」

 店で使われているのは魔導式コンロといって、火を使わず火の魔石を使用している。このコンロは屋敷にあった魔力がないと使えないコンロとは違い、魔力のない私でも使えるコンロなんだ。

 だから、つけるのは簡単。コンロについている赤い魔石にふれると、ポッと火がつく仕組み。薪で火を起こさず使えるから、このコンロは人気がありガリタ食堂以外にも、港町の飲食店のほとんどが使用している。

 そのコンロを作ったのは港町にある「魔法屋」という魔導具屋の若い店主らしい。いちど店に行ってみたいんだけど、まだ長い時間外に出るのは怖くて実現していない。

 ――そろそろかな?

 油があったまってきたら、天日干ししたジャガイモの皮を一気にいれて、コンガリ揚がったら塩をサッとふる。

「いい匂い。どれどれ、んんっ! サックサクておいしい」
 
「美味そう! ルーチェ、俺にもすこしくれ!」
「いいよ、いまお皿にだすね」

 揚げたばかりの、ジャガイモのチップスを皿にだした。
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