魔力なし悪役令嬢の"婚約破棄"後は、楽しい魔法と美味しいご飯があふれている。

プロローグ④

壇上で頭を抱えて苦しむ殿下をながめた。
 カロール殿下は呻きながら私をみつめ、何か伝えようとしている。

「…………っ」

【おい、いまのうちに、ここから出たほうがいいぞ】

 いきなり、頭の中に声が聞こえてきた。

「だ、だれ?」

【誰でもいい。この場に残っていると、お前がやったかと思われるぞ】

「え、私がやった?」

【そうだ、アイツはお前の一言の後に苦しみだした】

「ええ、そ、そうかも……」

 婚約破棄は終わったことだし、殿下の周りには愛するリリーナと攻略対象もいるし、誰かが医者も呼んだ。

【はやくしろ!】

「わ、わかったわ」

 私はその声に従い混乱する会場からでて、馬車に飛び乗り屋敷へと戻った。
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