君の隣で歌いたい。
思わぬ言葉に脳の処理が遅れる。
間抜けな顔をしているであろう私を見ずに、斜め下に目をやりながら沢里は続けた。
「リンカが本当の自分を見せてくれたの、嬉しかったよ。で、ずっと考えてた。そういう俺はどうなんだって。前に言ったよな。憧れてるって。でも最近――」
そこで一旦、沢里が息を吐く。
「ちょっと憧れすぎておかしくなってる」
一瞬呼吸が止まった。沢里はいつの間にか真剣な表情になっていて、その目は私の目をしっかりと捉えている。
「それは……」
「だからまあ、前に一緒に歌ってたやつっていうのが気になってて。でも部活ならいいんだ! 合唱なら大勢で歌ってる中の、誰か一人が特別ってわけでもないだろ? はい、リンカに気色悪いって言われる前に自己申告!」
「痛っ!」
ばしばしと背中を叩かれ、流れる空気が元に戻る。