君の隣で歌いたい。


 曲を作り出して間もない頃、数少ないコメントが嬉しかった。

 少し有名になってからも、変わらずがんばれと応援してくれた。

 アンチに悩まされていたら、めちゃくちゃに宣伝をして励ましてくれた。

【linK】が好きだと伝えてくれた。

 顔も知らないフォロワー(あなた)たちに、私はずっと助けられていたのだ。

「今の気持ちをどうぞ!」

 司会者にマイクを向けられる。ぐすぐすと鼻を鳴らしながら、必死に声を絞り出した。

「音楽を、やっててよかったって、心の底から思います。本当にありがとう」

「ありがとうっございますっ!!」

 とても感謝を伝えきれない。途切れ途切れに礼を言うと、感極まりすぎて語彙力が失われた沢里も後に続く。

 盾と記念品がもらえるとのことで、沢里には記念品が手渡され、私はsawaさんから盾を受け取る。

 その際にこっそりと小さな包みも手渡された。

「これ、うちのスタジオの合鍵。娘、よくがんばった!」

 耳元でぽそりと伝えられ、私は泣きながら笑ってしまった。

 一曲歌い切ったら沢里家のスタジオを使わせてくれる。

 その約束をすっかり忘れていたからだ。

 私たちは中継のカメラに向かって全力で手を振った。

 画面の向こうに伝わるように。

 ありったけのありがとうの気持ちを込めて。

 ずっとずっと。

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