夫婦ごっこ
「ありがとう。嬉しい。ねぇ、義昭さんは? 義昭さんは何したいの?」
「いろいろあるよ。両想いの僕らでまたデートがしたいし、旅行にも行きたい」
「旅行! 私も行きたい」

 両想いで旅行に行けるのかと思うと嬉しくて、奈央は抱きついていた身を勢いよく起こすと義昭に期待の眼差しを送った。

「そんなに嬉しそうにされたら絶対行かないといけないな。二人で計画して行こう。奈央さんと行きたいところたくさんあるから」
「私も義昭さんといろんなとこ行きたい。楽しみ」
「そうだね。僕も楽しみだよ。奈央さんとお出かけたくさんしたい。でも、僕はこの家で二人きりの時間にしたいこともたくさんあるよ」
「そうなの? 例えば?」
「今みたいに奈央さんを膝の上に乗せて抱きしめたり、奈央さんに膝枕してもらったり、あとはベタにあーんとかもしてあげたいな」
「……最後のはちょっと恥ずかしいかも」
「そのくらいで恥ずかしがってたらダメだよ。僕は奈央さんとたくさん触れ合いたいんだから。『いってきます』『いってらっしゃい』のチューだってしたいし、一緒にお風呂にも入ってみたい。それに夜は必ず一緒のベッドで寝たい」

 義昭がそんな俗欲を持っていることに奈央は少なからず驚いた。義昭はあまりベタベタするようなタイプに見えない。ただただ恋人を甘やかしてくれる優しい人というイメージで、義昭から何かを求めてくるとは思っていなかった。
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