夫婦ごっこ
「やっぱりお二人はすごいですね」
「いえ。私も妻もよく参加していますから。慣れですよ」
イベントが終わるとまた山口が話しかけてきた。そのまましばらく三人で会話をするが、義昭がわざとらしく『妻』のワードを何度も入れてくるものだから、奈央はずっと意識して表情を引き締めていた。会場にいる間は油断しないようにとずっと気を張っていたが、会場の外に出て人の多くない場所まで抜ければ、奈央はようやく体の力を抜いて大きく息を吐きだした。
「ふふ、奈央さん、よく耐えたね」
「義昭さんのいじわる。ねぇ、もう人いないからいいでしょ?」
「ダメだよ。家に帰るまで我慢して?」
「もう……わかった」
二人で出かけるとき、奈央はある制約を課されている。表情を引き締めていたのもそれ故だ。いつも家に帰るまではその制約を解除してもらえない。奈央は早く家に着いてくれと心の中で願いながら義昭と帰宅の途についた。
「いえ。私も妻もよく参加していますから。慣れですよ」
イベントが終わるとまた山口が話しかけてきた。そのまましばらく三人で会話をするが、義昭がわざとらしく『妻』のワードを何度も入れてくるものだから、奈央はずっと意識して表情を引き締めていた。会場にいる間は油断しないようにとずっと気を張っていたが、会場の外に出て人の多くない場所まで抜ければ、奈央はようやく体の力を抜いて大きく息を吐きだした。
「ふふ、奈央さん、よく耐えたね」
「義昭さんのいじわる。ねぇ、もう人いないからいいでしょ?」
「ダメだよ。家に帰るまで我慢して?」
「もう……わかった」
二人で出かけるとき、奈央はある制約を課されている。表情を引き締めていたのもそれ故だ。いつも家に帰るまではその制約を解除してもらえない。奈央は早く家に着いてくれと心の中で願いながら義昭と帰宅の途についた。