夫婦ごっこ
家に帰りつけば、奈央は義昭からの『よし』の声を今か今かと待った。ずっと『待て』をさせられ続けている犬の気分だ。
「奈央ちゃん。もういいよ。ごっこは終わり」
リビングに移動したところでようやく許しが出た。義昭の言うごっことは今までの夫婦ごっこのことではない。義昭に定められた余所行き夫婦ごっこのことだ。義昭といると奈央がすぐに顔を緩めてしまうから、ちゃんと引き締められるようにと外に出かけるときには余所行き夫婦ごっこをさせられる。奈央としてはそこまでひどい顔を晒しているつもりはないのだが、義昭は他の人の前では意識的に引き締めろと言うのだ。でも、ひとたび家に帰れば義昭は何でも許してくれるから、奈央はもうベタベタに甘えてしまう。
「義くん、抱っこ」
「ん、おいで?」
義昭に思いきり抱きつけば、しっかりと奈央を抱き上げてくれる。義昭からは奈央を甘やかす空気が滲み出ていて、奈央の甘えたい欲もグンと高まった。
「今日はどうしたい?」
「抱っこして、ぎゅーしてほしい」
「じゃあ、あっち行こうか」
義昭は大きめの座椅子のほうに移動すると一度奈央を下ろしてからそこに座り、奈央に自分の上に座るよう促してきた。奈央はもう慣れたもので何の躊躇いもなく義昭の上に跨って抱きついた。
「奈央ちゃん。もういいよ。ごっこは終わり」
リビングに移動したところでようやく許しが出た。義昭の言うごっことは今までの夫婦ごっこのことではない。義昭に定められた余所行き夫婦ごっこのことだ。義昭といると奈央がすぐに顔を緩めてしまうから、ちゃんと引き締められるようにと外に出かけるときには余所行き夫婦ごっこをさせられる。奈央としてはそこまでひどい顔を晒しているつもりはないのだが、義昭は他の人の前では意識的に引き締めろと言うのだ。でも、ひとたび家に帰れば義昭は何でも許してくれるから、奈央はもうベタベタに甘えてしまう。
「義くん、抱っこ」
「ん、おいで?」
義昭に思いきり抱きつけば、しっかりと奈央を抱き上げてくれる。義昭からは奈央を甘やかす空気が滲み出ていて、奈央の甘えたい欲もグンと高まった。
「今日はどうしたい?」
「抱っこして、ぎゅーしてほしい」
「じゃあ、あっち行こうか」
義昭は大きめの座椅子のほうに移動すると一度奈央を下ろしてからそこに座り、奈央に自分の上に座るよう促してきた。奈央はもう慣れたもので何の躊躇いもなく義昭の上に跨って抱きついた。