夫婦ごっこ
 デザートまで食し終わり、二人の間には少しの緊張感が漂っていた。

「奈央さん。恋人として過ごした時間もとても楽しかったですね」
「はい。毎日楽しかったです」
「じゃあ、その楽しい毎日を共に続けていきましょう。奈央さん。私と結婚してください」

 義昭は指輪を差し出しながらプロポーズしてくれた。二人の関係はあくまでもごっこのはずなのに、婚約指輪まで用意するなんて、義昭はどこまでも誠実で真面目な人なのだと思った。ずっと真摯に向きあってくれる。そんな彼と一生を共にできる自分はきっととても幸せな人間だ。

「生方さん、ごっこなのに、指輪まで用意したんですか?」
「だめですよ? ちゃんとなりきらないと。それに大事にすると言ったじゃないですか。あなたの人生をもらおうとしているんです。プロポーズくらいちゃんとさせてください」
「生方さんはずっと誠実に向きあってくれますね。すごく嬉しいです。生方さん。よろしくお願いします。あなたと結婚します。あなたと家族になりたい」
「ありがとう! ありがとうございます、奈央さん!」
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