夫婦ごっこ
 婚約後、二人は結婚へ向けてすぐに動きはじめた。

 まずは家族に認めてもらうのが大事だからとプロポーズの翌週には両家への結婚挨拶を行った。奈央も義昭もずっと誰とも交際してこなかったから、どちらの家族からも大層驚かれたが、それ以上に祝福のほうが大きかった。気が変わらないうちに早く結婚しろと急かされたくらいだ。

 妹の由紀は泣いて喜んでくれたし、義昭の姉の慶子も心から喜んでくれたから、奈央も義昭も肩の荷が下りたようでとても安心した。

 唯一、修平だけは義昭との出会いをナンパのように思っていたから、義昭のことを少し訝しんではいたものの、両家の顔合わせまで行ってしまえば、もう何も言ってこなかった。

 義昭とは恋愛感情がないこと以外、普通の恋人のように過ごしてきたから、二人はこの結婚に関してほとんど嘘をつかなくてよかった。二人の馴れ初めはそのまま話せばよかったし、お互いのことも自然に知っていったから、何を聞かれても困らなかった。相手のどこが好きなのかという質問さえ、少しも詰まることなく答えられた。恋心ではなかったとしても、互いをよく想っていることに違いはないから、相手の好きなところを述べるのなんて少しも難しくなかった。

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