熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~
わざと不機嫌そうに答える私の心中なんか見抜いているに違いない。成輔は余裕のある声音で言う。

「片付けたらデートしようね。京都デート、なんだかんだで初めてじゃない?」

過去、成輔が会いに来ても、観光地を回ったりはしなかった。今日はこの後時間があるし、観光も考えていた。
ホテルにもふたりで宿泊予定。しかも、張り切ってツインルームだ。
ちゃんと成輔に気持ちを伝えるつもりで取ったツインルームだったけれど、まさかフライングで成輔が来るなんて思わなかった。
さらにはゆうべのうちに気持ちも伝えて……ああ、駄目だ、思い出すのはやめよう。
気持ちを伝え合うどころか、先に進むのにちょうどいい舞台を用意してしまった感じだ。でも、それはもう嫌じゃない。ただただ恥ずかしいだけ。考えると顔も身体もかーっと熱くなってくる。そして不思議なもので、覚えたての刺激のせいか、身体のあちこちがむずむず疼くような感覚がある。成輔が身体中にキスなんかするからだ。そこまで考えて私はぶんぶんとかぶりを振った。思い出さないようにしているのに。

「葵、顔色や表情がコロコロ変わって面白い」

誰のせいでよ! とは言わず、私は粛々と残りの掃除を済ませるのだった。
< 131 / 207 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop