姐さんって、呼ばないで

ガツンッ。

「んぁあ゛っっ」

隙を狙って仁を攻撃しようとした野田の手が一瞬で掴まれ、デスクに張り付けられ、手にしていた鋏がデスクに突き刺さった。
あと数ミリ刃先がずれていたら、グサッと指に突き刺さっていただろう。

「いい度胸してんじゃねーか。この俺に逆らう奴がいるとは驚きだ」
「ひぃぃぃ~~っ」

触れられてもいない。
掠り傷一つ負ってない佐々木は、降参とばかりに両手を擦り合わせ拝み始めた。

「すいやせんっっ!俺は野田さんに言われたからやっただけで、桐生に逆らう気なんてさらさらないっす!」
「鉄、そいつを頼む」
「へい」

仁のすぐ後ろにいる鉄が、平謝りする佐々木を縄で縛り上げる。

「テメェが、ケツかいて(そそのかし)んのバレバレなんだよっ」
「っ…」
「テメェも筋者んなら、しっかりと落とし前つけて貰おうじゃねーか、なぁ゛?」
「んっ…ざぁけんなっ!筋者んなら筋者んらしく、ショバ代取って何が(わり)ぃんだよっ!」
「ぁあ゛?」
「元々は金田組(うち)のシマだったんだから、少しくらいいいじゃねーかっ」
「わかんねぇ奴だな、お前の考えなんざ、関係ねーんだよっ」
「ぐへっ…」

仁の拳が野田の首にめり込んだ。

急所(喉仏)は外してやった、有難く思え。……極道は上下関係・規則第一って知らねーのか?桐生組の傘下にいる以上、うちの規則に従えや。それが嫌だったら、足洗う(組から抜ける)か、シマ出るか。ガキでも分かる二択だ」

仁の口角が緩やかに持ち上がる。

「後は頼む」
「分かりやした」

一撃で意識朦朧としている野田を縛り上げ、佐々木と共に連行する。

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