姐さんって、呼ばないで

「あの三人、マジ、パネェ~~ッ!!」
「桐生さんと手嶋さんはもちろんだけど、小春ちゃんも凄くカッコイイね!」

バナナボートや浮き輪で遊んでいた小春のクラスメイトたちが、休憩のために陸に上がっていて。
暑さ凌ぎにかき氷を食べながら、サーフィンを楽しむ三人(仁と鉄と小春)を眺めている。

「小春は何でも仁さんに教わってるからね~。大抵のことなら何でもできるよ」

詠がクラスメイトに教える。
勉強でも運動でも、仁がいいお手本になって小春を導いて来た。

千葉県南エリアに位置する鴨川は、海水浴場としてだけでなく、サーフィンのスポットでも有名。
時より吹く風によりいい波が立ち、ベストスポットのようだ。

「あぁ~、喉乾いたぁ~」
「姐さんっ、何か買って来やす!」
「あ、じゃあ、あればスポドリで」
「兄貴は?」
「俺も同じので」
「了解っす」

陸に上がって来た三人は、大き目のビーチパラソルの下で休憩することにした。
鉄が飲み物を買いに行っている間に、他の組員が買って来た焼きそばやカレーを食べ始める。

「サーフィン、めっちゃ楽しそうっすね」
「やるか?教えるぞ」
「えっ、マジですか?」
「これ食い終わったら、教えてやるよ」
「うぉおっ、やったぁー!!」
「あたしもやってみたぁ~い!」

仁たちを見ていたクラスメイトの岡田(おかだ) 奏斗(かなと)が、興奮気味に立ち上がった。
それにつられ、菊川も反応を示す。

「菊川は鉄と小春に教われ」
「いいよな、小春」
「うん、もちろん!」

たまには鉄にも色めき立つことがあってもいいかなと思えて。
ついつい親心のようなものが湧いて来た。

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