姐さんって、呼ばないで
塁に出ていたメンバーが次々とホームにかえる。
走って来た勢いでロンダートし、そのままバク宙でホームベースを踏んだ仁。
一年C組は、仁のランニングホームランでコールド勝ちとなった。
「兄貴っ!!」
「仁さんっ」
仁の元に駆けつけるメンバー。
応援に駆け付けたクラスメイトも大興奮している。
仁は一塁側にいる三年のベンチへ勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
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「球技大会、お疲れ様ぁ~っ!みんなよく頑張ったね!」
あっという間に二日間の球技大会が終わり、仁が手配した高級焼肉店・笹舟にクラス一同が集まった。
担任の最上が労いの言葉をかけると、グラスを持った鉄が立ち上がる。
「サッカーとソフト優勝、バレーとバスケ準優勝、ドッジは四位。そして、一年C組、総合優勝っ!!メニューにあるもんなら飲み食いし放題っす!!それじゃあ、カンパーイ!」
「「「カンパーーーーイッ!!」」」
見事に結果を出した一年C組。
前代未聞の一年生が総合優勝という、伝説を刻んだ。
「旨っ!!何この肉っ、すっげぇ柔らけぇ」
「このタレでご飯三倍はいける!超旨い!!」
店を貸切っての祝勝会。
例え優勝できなかったとしても、慰労会として仁は食事会をするつもりだった。
「小春ちゃんの三塁打も凄かったけど、やっぱり桐生さんのホームランは凄かったよね~」
「それ言うなら、桐生さんと鉄さんのダンクも凄かったよっ」
「えっ、何それ。私見てなーい!」
あちこちから漏れて来る武勇伝。
そんな彼らを眺め、小春は嬉しさを噛みしめていた、その時。
「小春」
ポンと、隣りに座る仁に頭を一撫でされた。
「楽しかったか?」
「……はいっ」
「そりゃ、よかった」
イベント大好きな小春のために、全力でサポートする仁。
少しくらい型破りなことをしたとしても、小春の笑顔が見れるなら。
「仁さん」
向かい側に座る詠がスマホをチラつかせた。
「うぉっ?!!か、可愛いぃぃ~っ!!」
スマホで隠し撮りした小春の写真が沢山送られて来た。
周りにいるクラスメイトが仁の顔を見て、一瞬で驚愕した。
―――破顔する仁の姿に。