姐さんって、呼ばないで

二学期の中間試験も終わり、やっと一息つく。

「今日、どっか寄って行かない?」
「あ、いいね!」
「私、隣駅の駅前にできた『ルル』に行ってみたい♪」
「あっ、ゼリー専門店の?」
「そう!凄い種類が多いらしくて、アイス屋みたいに数種類盛るのが映えらしいよ♪」
「えぇ~いいね、それ!」
「じゃあ、そこ行こっか」

テスト明けの褒美にと、寄り道して帰ることになった小春ら三人。
仁と鉄と教室で別れ、駅へと向かった。

「テストどうだった?」
「小春は仁さんに教わったんでしょ?」
「……ん、まぁ」

テスト対策にと、連日勉強を見て貰っていたから、結構いい出来なんじゃないかと思う。
夕食も組でご馳走になり、毎日私が過ごすのが当たり前のような感じだったけれど。

仕事が忙しいはずの彼に迷惑をかけているんじゃないかと、気が気でない。

二十一時過ぎに私を自宅に送り届けた足で会社に行き、深夜まで仕事をしているらしく。
組の人が言うには、帰宅は深夜二時を回っているとか。
それでも、毎日遅刻もせずに学校に来ていて、本当にいつか倒れるんじゃないかと心配になる。



駅前のゼリー専門店、ルル。
果汁100%のゼリーは常時20種類以上あって、アイス屋さんみたいに好きな種類を選んでカップに盛る仕様。
ゼリーだから、つるんと幾らでも食べられてしまう。
期間限定の味も多くて、ついつい通ってしまいそう。

「このメロン味、鼻に抜ける香りがヤバすぎるっ」
「こっちの白桃もすっごい美味しいよ!小春、食べてみ?」

二人から一口ずつ貰う。
メロンは芳醇な香りが際立っていて、白桃は仄かな甘さが優しいお味。

「私のでこぽんは味が濃いよ。二人とも食べてみて」
「じゃあ、遠慮なく~」
「いただきまーす」
「んっ、本当だ。めっちゃ濃厚!」
「でこぽん……こりゃアリだわ」

柑橘系なんてオーソドックスすぎたかと思ったけど、衝撃的な濃さに二人も度肝を抜かれたみたい。

「また来ようね」
「限定のもあるから、週一で通いたいレベル」
「ホント、それ」

三人して満面の笑顔でゼリーを頬張った。

< 93 / 152 >

この作品をシェア

pagetop