君に抱いた恋心を記憶の中にそっとしまって。

だけどメッセージを受信したのは遥陽ではなく、紗夜だった。



「なんだ……紗夜か」



その事に少し落胆しながら、アプリを開き、メッセージの内容を確認する。


『おはよ〜!今日の夏祭り、午後5時集合ね!神社の入口で待ってるから!』


今日の夏休みの集合時間と場所の再確認のメッセージだった。


ダブルデート、楽しみにしていたけど、何となく行きたくないな……という気持ちがよぎってしまった。


遥陽にあんなに会いたいと思っていたし、今日の夏祭り楽しみにしていたのに、本当にどうしちゃったんだろう。


こんな気持ちの変化に戸惑うばかりだった。


急いで頭の中に浮かんだ“行きたくない”という言葉を消して、紗夜に返事を送る。


『わかってるよ!そんなに心配しないくても笑』



「はぁ……なんか、今日の私、嫌だな……」



メッセージを送って数分、何もする気力が起きなくてその場にとどまる。


こんな自分が嫌になって、スマホを閉じる。
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