君に抱いた恋心を記憶の中にそっとしまって。

「怒ってないよ……怒ってないけど、なんか疲れちゃった……」


「初優?」



遥陽を見ていると涙が溢れて溢れて止まらない。


紗夜たちにはあんなに強がって大丈夫って言ったのに、いざ遥陽を前にするとダメだった。


あたりはザワザワと騒がしいのに、周りの騒音なんて聞こえなくて。久しぶりに遥陽にあったのに全然嬉しくない。


全然キュンとしない。



「……ごめん、頭、冷やしたいから今日は帰る……」


「初優?!待てって!話聞いて!」



自分の感情を落ち着かせたくて会って数分で帰ると言った私。その事に納得いかないのか遥陽は私の腕を掴む。



「離して!帰るって言ってるの!遥陽に会えるの楽しみにしていたのに連絡もなしで不安だったの、分からないでしょ!塾で忙しいのはわかるけど連絡くらいしてよ!なんで紗夜たちと合流してからメッセージ来るのよ!」



止まらない。


こんなこと言いたくないのに口が勝手に開いて、動いて。
< 166 / 232 >

この作品をシェア

pagetop