君に抱いた恋心を記憶の中にそっとしまって。

涙を流して、こんな姿で遥陽になんてことを言っているのだろう。



「………それは……ごめん」


「……今は遥陽といたくない。今日は帰る。……バイバイ」



はっとして遥陽の顔を見ると目を見開いて、驚いている。そして顔を下に向かせ、俯いた。


ごめんしか言わない遥陽にも腹が立ってしょうがない。私は回れ右をして遥陽に背を向ける。


……それからのことはよく覚えていない。


気づいたら家についていて、自分の部屋で泣きながらベットにいた。


お母さんとお父さんは夏祭りに行ってるので家には誰もいない。だから私は声を押し殺さないで大きな声を出して泣いた。


まるで一生分の涙を流すかのように泣いた。



「ごめん……ごめん、遥陽」



泣きながらそう呟いていた。


遥陽を好きな気持ちは変わらない。だけど初めてのことだらけで戸惑ってるんだ。


この感情の抑え方なんて知らない。


どうしたら、いいんだろう……。
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