君に抱いた恋心を記憶の中にそっとしまって。


3月に入り、ポカポカと暖かくなってきた今日この頃。2月の寒さは嘘のように消え去り、季節は春を迎える準備をしていた。


私の学校では無事に三年生の卒業式が終わり、4月からの新学期に向けて学校は動き出していた。



「……ねぇ、冷泉さんと会ったりしないの?」


「へ?」



卒業式が終わった数日後の放課後。


今日は学校の終業式で午前中に学校が終わり教室にいるのは私と紗夜だけ。


春休みの宿題を少しでも終わらせたくて、紗夜を誘い教室で向かい合うようにして座っていた。


宿題を初めてしばらくした頃、紗夜から突然そう聞かれてシャーペンを動かす手を止めた。



「な、何、突然」


「別に突然じゃないよ〜。冷泉さんと知り合ってから結構経つじゃん?そろそろ会ったりしないのかなって思って」


「…………」



遥陽さんと会う、か。


確かに知り合ってしばらく経っているけど……。
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