氷の女と呼ばれた私が、クソガキ御曹司に身も心も溶かされるまで。
まだ胸がドキドキしてる。
彼女とレストランで別れてから、もう2時間は経つのに。
今でも信じられなかった。
この俺が、星羅さんと2人っきりで食事をしたなんて。
彼女がレストランを出た後、部屋に戻った俺は、窮屈なタキシードを脱ぎ捨てバスルームに直行した。
髪にポマードを塗りたくっていたせいで、ずっと頭皮が気持ち悪くて仕方なかった。
3回もシャンプーをして、ようやくベタベタが全部取れた。
浴室を出て、用意されたバスローブではなく、自前のパジャマに着替える。
俺は枕やベッドが変わっても眠れるけど、パジャマはこれじゃないと眠れないんだぜ。
でも、こんな興奮状態じゃ、どのみち今夜は眠れそうになかった。
洗面室の鏡の前に立つ。
鏡に映し出された自分の姿を見るや、急に夢から覚めたような気分になった。
ビシッと決まっていた正装の魔法が解け、普通の男の子に戻った俺。
星羅さんと過ごした夢の様な一時を思い出しながら、鏡の中で不安そうな顔をしている宗像シドに問いかける。
…俺、星羅さんの前でちゃんとワルぶれたかな?