【コミカライズ】「石油王にオレはなる!」 ~極上(プラチナ)御曹司と溺愛出張いってきます!!~
 なんだか、とっても大切にされているみたいで……心臓がトクリと鳴る。男性らしい清涼感のある香りを漂わせた社長は、「では、いくぞ」と私をエスコートするために腕を折り曲げた。

「ほら」

 戸惑う私の手をとると、社長は自分の腕に絡めるようにとひっぱった。

「今夜はオレから離れないこと」
「は、はい……」

 こんなにもゴージャスな彼の隣に立つのは心苦しいけれど、下を向いていてはいけない。顔を上向きにすると、私は笑顔をつくって彼に身体を近づけた。

「何かあったら、社長が守ってくださいね」
「ああ」

 本当に何かあれば後ろに控えるロベルトが動くだろうけど。けれど、一誠社長もそれなりに身体を鍛えていることは知っている。

 ホテルのロータリーに横づけされたリムジンに乗ると、夜の眩い光の中を滑るように走り出していく。

 隣に座った社長はなぜか私の手をとると、指と指を絡めるように繋いできた。これも『オレの女』の演技の一つだろうか。指摘すれば離れてしまうようで、私は何も言えなくなる。

 大きな手から伝わる温もりを離したくなくて、私はぎゅっと彼の手を握りしめた。


◆◆◆


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