悪女の汚名返上いたします!~悪役聖女として追放されたのに、私を嫌っていたはずの騎士がなぜか甘々に…⁉~
『じゃあ、今日から貴方はわたしだけの騎士よ、裏切りは許さないわ』

『はい、セレーナ様。この僕になんでもお申し付けください』
 
『なんでも、ねぇ。それじゃあ……わたし、ベアトリスを失脚させたいの。協力してくれる?』

 忠誠心を試すべくそう尋ねると、ポールはなんの迷いもなく『もちろんです! かしこまりました』とふたつ返事で承諾した。
 
 あまりの即断即決に、セレーナの方が『貴方、正気……?』と戸惑ってしまう。

 
『僕の実家は金持ちで、裏社会にもコネクションがありますから、お任せください! 貴女のためなら、なんでもする所存です!』

 こうしてポールという優秀な下僕を手に入れたセレーナは、ベアトリスを二度も追放し、王太子婚約者の座を守り抜いた。……はずだったのだが。

「あ~あ、全部上手くいったと思ったのに。ベアトリスが無事なら始末しなきゃね。あれはゴキブリ並の生命力で、踏みつけられてもへこたれない雑草のような女。いつまたわたしの邪魔をするか分かったものじゃないわ。ねぇ、ポール」

「はい、セレーナ様」

「それで、ベアトリスたちはどこに行ったと思う?」
 
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