エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
 その意味を意識してしまい、胸の高鳴りが増していくのがわかった。

「……ご褒美を用意しなきゃ、だから」

 洗面台に置いてあるボディソープは、百合先生が『いい匂いなの!』とくれたものだが、量が少ないから特別な時に使おうと思っていた。

 今夜は特別な日じゃないかもしれないけれど、食事の後に控えているひと時を思うなら、特別な自分になりたい。

「……期待しすぎだなぁ」

 手のひらサイズの容器を握り、自分の鼓動の速さに苦笑する。

 さっき、彼にお願いした料理は五年前によくねだって作ってもらっていたものだ。

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