エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
 北斗はコショウを効かせるのが好きで、これがまたトマトの甘味と絶妙にマッチする。

 私がたくさん欲しがるからといって、三つも四つも用意するのだけが困りものだ。

 思えば彼は、昔から私を甘やかしてはうれしそうに笑っていた。

 だから今も、どんな言葉を囁き、どうやって触れれば私が喜ぶか熟知しているのだろう。

 遠くから聞こえる調理の音が空腹を誘う。

 結婚してから料理を担当するのは私ばかりだったから、北斗の手料理を食べるのは久し振りだ。

 たったそれだけのことが、こんなにもうれしい。



 私がシャワーを浴び終えてダイニングに向かうと、ちょうど北斗がお皿を運んでくるところだった。

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