エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
 決して気まずくはない優しい沈黙に背中を押され、悩んだ末に口を開いた。

「……夫に、ひどいことを言ってしまって」

 持っていたコーヒーのカップをテーブルに置き、自分の手を祈るように握る。

「すごく傷つけたんです。一生憎まれてもおかしくないくらい……」

 言ってから、首を左右に振った。

「ううん、今も許されていません」

 結婚したのは復讐のため――。

 胸がずきずきと痛んで、握った手が震える。

「あんなことをしたんだから、許されなくて当然です。でも、私は……」

 我慢できなくて、涙がこぼれた。

「好き、なんです。今も……」

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