エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
 この様子だと本当に『うっかり』やってしまっただけらしい。

 本物の妻として認めていないから、知人と親しくしてもらいたくないのかと思っていたが、違うようだ。

「……私も嫌だったよ」

「悪い。握手の件は――」

「そっちじゃなくて、アレックスさんのほう。……ごめんね、そういう文化だってわかっててももやもやしちゃった」

 手を伸ばして北斗の頬に触れ、挨拶のキスをされた場所を拭うように指を動かした。

「いや、配慮が足りなかった。そこまで気にしていないのかと」

「気にするよ」

 思わず、食い気味に言ってしまった。

「……気にする。すごく」

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