エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
「……その前に少しだけひとりでいてもらう必要があるのを忘れていた」

「なに?」

「着替えを手に入れてくる。今度こそすぐに戻るから、俺のいないところで泣くな」

 前髪にもキスをすると、北斗は足早に部屋を出て行った。

 彼の気配がなくなってから、遅れてじわりと頬が熱くなる。

「ほんと、情けない……」

 失敗はこれだけで充分だ。

 今度こそ完璧に妻らしく振る舞おうと心に誓った。



 再び会場へ戻った後は、最初よりもう少しだけ心に余裕を持って過ごせた。

 なんだかあっという間に感じられる数時間を終え、帰路につく。

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