エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
 手を取られ、彼の胸まで引き寄せられると、鼓動が手のひら越しに伝わってきた。

「傷つけたのは君だ。だから、君にしか癒やせない」

 これは北斗なりの『愛している』だ。

 理解した瞬間、一気に涙があふれだす。

「どうして……」

「あんなことを言った理由なら、なんとなく予想がついている。ご両親から借金の話を聞いたからな」

 そういえば再会した後、彼は私より先に両親と話していた。

 あの時に事情を悟ったのだとしたら、ずいぶん長いこと事実を知ったままなにも言わなかったことになる。

「君は馬鹿だ。突発的な出来事にとても弱くて融通がきかない」

「……うん」

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