エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
 二回以上してもいいと言われたから、唇を触れ合わせて離した後、すぐにもう一度重ねた。

 私からすると言ったのに舌を入れてくるなんてひどいと思ったけれど、言葉を交わさなくても彼が喜んでいるのを感じたから、素直に受け入れておく。

 このままひとつに溶け合うんじゃないかと思うくらいキスをするうちに、私も北斗もすっかり息が上がって、ほかのことを考えられなくなっていた。

「暑いな」

 そんな言葉とともに、ソファに押し倒される。

 北斗は驚いている私に覆いかぶさると、自身のシャツのボタンを外した。

 荒っぽい所作にぎょっとしながらも、いつもと違う雰囲気に鼓動が高鳴る。

「今日はもう寝るのかと……」

「眠るには君の子守歌が必要だ」

 鬱陶しそうにシャツを脱ぐと、北斗は私の服にも手をかけた。

「存分に歌ってくれ」

 この後のひと時を予感させるように、彼のキスは唇ではなく胸もとに落ちた。

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