エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
 どれだけ傷つけられ、苦しめられても、私は文句を言える立場じゃない。

「君にもメリットがある」

 そう言われて顔を上げる。もう北斗は笑っていなかった。

「この家には借金があるそうだな」

「どうしてそれを……」

 彼とは大学の頃、イタリアで出会ったのをきっかけに付き合い、一年の交際を経て婚約に至った。

 クールそうに見えて意外なほど情熱的な彼のアプローチに押し負けてそうなったのだけれど、その間、うちの両親とは一度か二度顔を合わせただけだ。

 そんな相手に借金なんてプライベートな話をするはずが……と思ってから、相手は会話のスペシャリストだと考え直す。

「さっき聞いた」

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