エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
 なにか話題を変えるべきだと必死に考えを巡らせ、口を開いた。

「そういえば、私の部屋にベッドはないんだね。ほかに寝室があるの? そこも見せてくれる?」

「昼間からベッドに誘うのか。大胆だな」

「そっ……そういう意味じゃないから……!」

 咄嗟に振り返ってから虚を突かれる。

 北斗が口もとに手を当てて、楽しそうに笑っていた。

 そういえば彼は、そんなふうに屈託なく笑う人だった――。

 外ではどんな怒りや悲しみも隠して笑みを浮かべられるほど、感情のコントロールがうまい人なのに、ふたりきりになると意外なほど表情豊かで、自分の気持ちをすぐ口に出す。

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