エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
 寂しさが滲んだその声は、何度目になるかわからない痛みを私の胸に生み出した。



 北斗との新婚生活は、思ったより悪くなかった。

 復讐だと言う割に彼は私に優しかったし、行動を制限したり、意に沿わない行為を強要することがなかったからだ。

 縛られていると思う瞬間は、左手の薬指にはまった指輪を見る時くらいだろうか。

 本当に結婚したのだと、うれしい気持ちと複雑な気持ちが同時に沸き起こる。

 それ以外に大きな変化はなく、私はこれまで通り仕事に出向き、帰宅したら北斗の夕食を用意した。

 聞いたところ、北斗は最近までローマにある在イタリア日本国大使館で働いていたらしい。

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