スーパー戦隊ヒーローズ1 剛球戦隊ケッセンジャー 見よ! 我らが青春の炎を!
 それから2週間ほど経った6月のある水曜日のこと、、、。 ここはベーサータウンの手術室である。
「いいだろう。 目覚めよ‼」 一人の若い女が手術台に寝かされていた。
 「目覚めたか。 ベーサー蝙蝠。 お前はこれから大切な任務を果たすのだ。」 「私に何を?」
「東京に在る三橋化学の資料室から高エネルギー炭素の化学資料を盗み出すのだ。」 「そんなこと、私には、、、。」
「出来ないと言うのなら妹がどうなってもいいのか?」 男は逆さに吊るされて鞭で打たれ続ける妹の映像を見せ付けた。
 「わ、分かりました。 やります。」 「ならばすぐに行ってこい。 失敗は許されんぞ。」

 代わってここはデンタ基地。 いつものようにニールが情報集めをしている。
「ニール、気になるような情報は有るのか?」 「いやあ、最近はベーサーも動かなくて困ってるよ。 こんなに静かだと怖いんだけどなあ。」
「だよなあ。 騒ぎらしい騒ぎも起きないし警察も動いてないしどうなってんだいこりゃ?」 「ん? これは何?」
 スマホを覗いていた洋美が画面を指差した。 「三橋化学? 聞いたことねえなあ。」
「嫌な予感がするわ。 こんな会社がニュースに出てくるなんて、、、。」 「そうだな。 その記事を読んでみてくれ。」

 「昨夜11時半から午前1時半の間に何者かが資料室に侵入して厳重に保管されていた高エネルギー炭素化合物の資料とサンプルが盗まれました。
なお、正面玄関も職員玄関も夜間警備中で出入りした人間は居ないということです。」
「ベーサーだよ。 おそらくは壁を透過して中に入ったんだ。 こいつは厄介だぞ。」 「またまた変なやつを出してきやがったなあ。 やめてくれよ。」
「ホワイト、こうもやつらが地球にこだわってるってことはベーサー星に異常が起きたってことだよ。」 「それはそうかもしれないけど迷惑な話だぜ。 まったくよ。」
 そこへタイムラインニュースが流れてきた。 「只今、内閣重要産業支援機構の資料室から重要ファイルが盗まれました。」
「何だって? 重要ファイル?」 「そうらしい。 なんでも国家機密に関わっている企業の情報が抜かれたらしいんだ。」
「やばいな。 早く動かないと被害が広がるぞ。」 ケッセンジャーの5人はそれぞれのメカで探索に出掛けた。
 「やつらが動き出したようだな。 カムフラージュさせろ。」 「畏まりました。」
「こちら寛貴。 特に異常は見当たらない。」 「こっちも同じだ。 ブラックはどうだ?」
「何も無い。 もしかするとカムフラージュしてるのかもだけど、、、。」 「カムフラージュ?」
「そうさ。 事件はいずれも真夜中だ。 ということは昼間は人間体だってことだよ。」 「そういうことも有り得るな。 注意しよう。」
 ニールは気になってベーサーブックを開いた。 「フムフム、そうか。 やっぱりか。」
「何がやっぱりなんだよ?」 「どうやら怪人はベーサー蝙蝠みたいだ。」
「蝙蝠だって? カメレオンに蜘蛛に蝙蝠かい? やめてくれよ。」 「ホワイト、そんなこと言ったって相手はベーサーなんだぞ。」
「そりゃ分かるよ。 だからって何でまた蝙蝠なんか、、、?」 「夜に動くためさ。 昼間に動いたんじゃあ高エネルギー炭素なんて盗めやしない。」
「そうだろうなあ。 高エネルギー炭素はテロ国家だって欲しいやつだろう。」 「それって何に使うのさ?」
「平和利用なら原発の1万倍の高エネルギーを1キロの炭素で得ることが出来る。 つまりこいつを武器に転用すれば原爆の何百倍の威力を出せるか知れない。」 「そいつはやべえや。 早く捕まえないと、、、。」
「ところがさ、昼間は人間体なんだよ。 ちょっとやちょっとじゃ見抜けないぜ。」
 洋美は自宅の近所を走り回っている。 「変ねえ。 雅子さんが居ないわ。」
それでも留まるわけにはいかない。 洋美はエンジンを吹かした。
 数時間掛けて探索した物の怪人の姿を見付けられなかった5人は基地へ戻ってきた。 「おかしいんだよな。 人間体でもレーダーには反応するのに。」
「妨害電波かもしれないわよ。」 「その可能性は十分に有るな。 もう一度トライしてみるか。」
 「よし。 ブラックとシルバーは怪人音波を探ってくれ。 ぼくらは人間体を探してみるから。」 「よっしゃ。」
寛貴 正弘 洋美の三人は制服を着て街へ出て行った。 「やつらがまた動き出したようだな。 作戦は有るのか?」
「今夜は横浜の石油コンビナートを狙います。 あそこの重要な資料を盗み出してキング様に献上いたします。」 「良かろう。」

 洋美は自宅の傍を歩いている。 そこへ近所に住んでいる吉塚雅子が出てきた。
「雅子さんじゃない。 久しぶりねえ。」 「あ、ああ。 どうも。」
「どうしたの?」 「いえ。 何でもないわ。」
 身を翻してコンビニのほうへ歩き去ろうとする雅子を見ていた洋美は不思議なことに気が付いた。 影が無いのだ。
「ねえねえ雅子さん‼ ちょっと待ってよ!」 「何? 何か用なの?」
 洋美が腕を掴んだ時激しい電気ショックが走った。 「あなたなのね? 最近の事件を起こしていたのは。」
雅子は洋美に向き直ると意味有り気に笑った。 「なぜなの? 何か有ったの?」
 「しょうがないの。 やらないと妹が殺される。」 「そうだ。 ベーサー蝙蝠。 その女を殺せ!」
「でも私には、、、。」 「殺さなければ妹を処刑するぞ。 いいのか?」
「それは、、、。」 「ならば殺せ! キング様のご命令だ。」
 雅子はそれでも躊躇している。 怒り狂った男は雅子を変身させてしまった。
「ピンク‼ 危ない‼」 咄嗟にブルーがナックルグローブを打った。
「ギャーーーー‼」 ベーサー蝙蝠は爆発した。
 「雅子さん‼」 「洋美さん 妹を、妹をよろしく。」
 「ケッセンジャー諸君 見苦しい物を見せちまったようだね。」 「貴様か。 操っていたのは。」
「それがどうした?」 「貴様のようなやつはぶっ潰してやる。」
「やれるものならやってみなさい。 アーミーよ、こいつらを叩きのめしなさい!」 「やってやるぜ! ブルーグローブだ!」
「こんちきしょう! 叩き潰してやらあ! ホワイトシュートだ!」 「アーミー もっとやれ!」
「許さないわよ! ピンクサンダー 流れ打ち‼」 「ほらほらほらどうした‼ こっちにも居るんだぜ! シルバーパンチだ!」
「えーーい、もっとやらんか‼」 「最後はぼくが締めてやるよ。 ブラックボール 大花火‼」
 「貴様たち、よくもやってくれたな。 このお礼はたっぷりと返させてもらうぞ。 さらば‼」

 洋美は雅子が残していったペンダントを胸に飾った。 「雅子さん 美幸ちゃんは大丈夫よ。 親戚の人たちが大切にしてくれるって。」
「それにしてもさあ、ベーサー蝙蝠って何がしたかったんだろう?」 「さあねえ。 分からないけど油断しちゃいけないのよ。 油断してるとベーサーに付け込まれるわ。」
「それもそうだな。 最近は何かと浮かれてるやつが多いから。」 「お前だってその一人なんだろう? なあ、寛貴。」
「お前ほどじゃないよ。」 「何だと、こらーーーーー、待てーーーーー!」
 真っ赤な夕日が沈んでいく。 洋美にはそれが雅子の涙のように見えて仕方が無かった。

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