君に甘やかされて溺れたい。


 だって、男の子の気持ちってよくわからない。

 同じ気持ちだと思っていたら、急に離れていったりするから。

 アイルくんは絶対嘘なんか言わないし、陽だまりのように優しく傍にいてくれるのに。


* * *


「はい、藍良くん」


 翌日、私は『甘恋。』10巻分持ってきた。


「えっこれ全部持ってきてくれたの?」

「一気に読みたいかなと思って」


 あれ?もしかしてそこまでじゃなかった?
 読みたいってただの社交辞令?


「いや、重くて大変じゃなかった?」

「え?あ、そうか。こんなにあっても持って帰るの大変だよね」


 私ったらバカ。
 こんなに重いもの押し付けられても困らせるだけだった。


「ううん、大丈夫だよ」


 藍良くんはふわりと優しく笑う。


「ありがとう。楽しみに読むね」


 嫌な顔せず、藍良くんは受け入れてくれる。
 やっぱり藍良くんってアイルくんみたいだな。

 こんなに優しくて甘い男の子、初めて出会った――。


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